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UAゼンセン重点課題

産業政策

公契約における労働条件確保と公共サービスの質向上に向けた制度整備【新規】 (地方自治体にも要請)

公契約は公共サービスや社会インフラを安定的に支える不可欠な制度であり、そのあり方は労働者の賃金や労働条件といった処遇の問題にとどまらず、地域経済の持続可能性や公共サービスの質そのものに深く関わっている。

過度な価格競争によって賃金水準や労働条件の低下が生じている現状を抜本的に是正するため、適正な賃金・労働条件の確保、公正な競争環境の実現、公共サービスの質の向上を基本理念として明確に位置付ける公契約基本法を早急に制定する。 

あわせて、公契約における労働条件の保障を国際基準にそって進めるため、国際労働機関(ILO)第94号条約に批准するとともに、地域の実情に即した公契約条例の制定・運用を全国的に促進するため国が地方自治体に対してガイドライン策定や財政支援を含む積極的な後押しを行う。

また、国が発注する公契約においては労働者の賃金保障を義務づける法制化をして率先垂範することにより、その効果を地方自治体や民間発注者にも波及させ、働く人の尊厳が守られつつ公共サービスの質が持続的に向上する公契約制度を総合的に確立する。

<背景説明>

公契約は、多岐にわたる公共サービスを支える不可欠な仕組みであり、物品調達、医療事務、ビルメンテナンス、指定管理業務、福祉施設・学校給食、警備、運送、清掃、ごみ収集、保育、学童保育、イベント委託、さらには印刷や繊維製品などの製造分野まで、多様な業種においてUAゼンセンの多くの組合員が従事している。

しかし現状では、長年にわたり「低価格競争」を前提とした運用実態もあり、民間企業の経営悪化を招くとともに、労働条件の低下、人材不足、安全衛生の悪化につながり、結果として公共サービスの質にも深刻な影響が及んでいる。

公契約の適正化に重要な役割を果たす地方自治体の「公契約条例」は、全国1,794自治体のうち制定自治体は91、うち賃金保障型条例は33自治体にとどまっている。条例が制定されていても建設業を中心とした内容にとどまり、サービス産業への焦点が当たらないことも多く、職種・資格・熟練度に応じた労働報酬下限額が設定されていない。そのため、必要な要員確保が難しくなり、サービスの質にも影響が生じている。

公契約制度はこれまで地方自治体の主体的な運用に委ねられる部分が大きく、国としての関与は限定的であったため、自治体間の取り組みには大きな差が生じており、財政状況や制度理解の違いによって導入が進みにくいといった構造的課題がある。全国的な底上げをはかるためには、国が基本理念と最低基準を明確に示し、ガイドラインの策定や財政的後押しを通じて積極的に関与することが課題解決には不可欠である。

とりわけ、公契約基本法の制定とILO94号条約の批准は、労働条件の適正化と公共サービスの質向上を両立させるための制度的な基盤を確立するうえで重要であり、早急に進められるべきである。住民生活に直結するサービス分野および製造分野の継続性と質を守るためにも、労働者・事業者・自治体・住民のすべてが潤う「好循環」の公契約の構築が求められている。

こうした状況を踏まえると、国がまず発注者として適切な労働条件の反映や価格見直しの仕組みを整え、率先してモデルを示すことが、地方自治体の取り組みを後押しし、全国的な制度整備を進めるうえで極めて重要となる。