あなたの声を聴かせてください
あなたの声を聴かせてください

あなたの気になるキーワードを入れてください。
キーワード(カスタマーハラスメント、年収の壁など)でUAゼンセンの活動や取組・政策を検索できます。

重点継続課題

労働・社会政策

労働者の職業能力開発の推進

産業構造の変化に対応するため、産業別リカレント教育を推進する。具体的には、①DX・GX時代に対応した技術者養成プログラムを強化(製造業・IT分野)、②流通・サービス業向けに、マネジメントスキル・接客スキル等の研修助成を拡充、③地域ごとの職業訓練センターの充実と、リカレント教育に関する情報提供体制強化、を一体的に進める。

企業の社会的責任としての教育投資の促進をはかるため、法人税の一部を教育財源に充当する仕組みを検討するとともに、従業員の教育訓練に積極的に取り組む企業に対する税制優遇措置を強化する。

短時間・有期・派遣労働者を含むすべての労働者に対する企業の教育訓練責務を明確化したうえで、教育訓練投資への助成措置や教育訓練給付制度を拡充する。併せて、有給の教育訓練休暇の普及促進および法制化を検討する。

非正規雇用者やフリーランスについても、教育訓練給付制度の対象とし、雇用形態にかかわらず学び直しが可能な制度設計を進める。長期有給教育訓練休暇制度の導入を支援するとともに、一時的な離職を経た場合であっても、リスキリングを通じた円滑なキャリアアップが可能となる仕組みを構築する。また、多様な労働者が参加しやすいよう、オンライン学習や短期集中型カリキュラム等の柔軟な訓練プログラムを拡充する。企業と連携したOJT併用型の実践的リスキリングを推進し、現場で即戦力となる人材育成を加速させる。

個人の能力開発を実効性あるものとするため、勤続年数等に応じて一定時間の公共職業訓練を受講できる権利の創設し、労働者が定期的にスキルアップできる制度を構築する。

<背景説明>

政府は、2021年3月に策定した「第11次職業能力開発基本計画」(2021~2025年度)の見直しを進めており、2026年度以降を対象とする第12次計画の策定を予定している。産業構造の急速な変化や人口減少に伴う労働供給制約が進むなか、成長分野や産業界に必要な人材を戦略的に育成・確保するとともに、職業能力開発の基盤整備や、個人の自律的・主体的なキャリア形成支援、企業における人材育成の充実を通じて、労働生産性の向上や処遇改善、経済社会の持続的成長につなげることが求められている。

一方、日本では、企業による教育訓練投資が長期的に低迷している。日本生産性本部の調査によれば、1990年代に約2.5兆円あった人材教育投資額は、2010年以降は約0.5兆円にとどまっており、対GDP比でも日本は0.1%と、アメリカ(2.1%)やイギリス(1.1%)と大きな差がある。こうした状況は、企業の競争力や労働者のキャリア形成の双方に影響を及ぼしており、企業の教育訓練責務を明確化するとともに、教育投資を後押しする制度的・財政的支援の強化が不可欠である。

また、現行の教育訓練給付制度は、労働者の自己負担を前提とした仕組みとなっていることから、経済的理由により学び直しを断念せざるを得ないケースも少なくない。制度の実効性を高めるためには、給付水準の引き上げや安定的な財源確保に加え、非正規雇用者や中高年齢者、女性、外国人労働者など、多様な就労形態・就業条件に対応した訓練体系の整備が重要である。

とりわけ、就業者向けのリカレント教育や職業訓練については、制度面・財政面の支援が十分とは言えず、雇用が不安定な層ほど学び直しの機会を得にくい傾向が指摘されている。こうした格差を放置すれば、労働市場の二極化や将来的な所得格差の固定化につながるおそれがある。

リカレント教育に対する公的支援の強化は、労働者一人ひとりの能力向上にとどまらず、人的資本形成を通じた持続可能な経済成長を支える戦略的投資として位置づけることができる。あわせて、企業の社会的責任として、教育・人材育成への積極的な関与を促す仕組みづくりも重要である。

実際、内閣府の調査(2021年)では、リカレント教育が収入の増加に寄与することが示されており、キャリア形成支援策としての有効性が裏付けられている。労働者にとって、定期的にスキルアップできる制度は、職業上の選択肢を広げるだけでなく、長期的には生活設計や老後の資産形成にも好影響をもたらす。

海外に目を向けると、フランスでは勤続年数等に応じて職業訓練の受講時間を蓄積できる「個人口座制度(CPF)」が導入されており、イギリスでも教育訓練支援の拠出や活用を制度化するなど、企業と労働者双方の責務と権利を明確に位置づけている。こうした事例を参考にしつつ、日本においても、有給の教育訓練休暇制度の法制化や、勤続年数に応じた訓練受講権の創設など、実効性ある制度設計が検討されるべきである。