重点継続課題
労働・社会政策
所得税の累進課税と金融所得課税の強化
所得の再配分機能を強化するため、所得税の累進課税の強化および金融所得課税の引き上げ、累進税率化、総合課税化、ミニマム税の強化などを検討する。
所得や資産の格差は近年拡大傾向にあり、所得格差を示すジニ係数は、2023年時点の再分配前で0.5855と、1962年の調査開始以降で最も高い水準となっている。とりわけ、コロナ禍を経て富裕層と低所得層の二極化が一層顕在化しており、社会の分断や将来不安の拡大が懸念されている。こうした状況を踏まえ、今後の財政健全化の必要性も見据えつつ、所得格差の是正に向けた所得再分配機能の強化は、喫緊の政策課題となっている。
本来、所得税は、すべての所得を合算して担税力を把握し、累進税率を適用する「総合課税」を基本とする制度である。しかし現行制度では、金融所得が分離課税とされていることなどから、高所得者ほど所得税の実効負担率が低下する、いわゆる「1億円の壁」と呼ばれる問題が生じている。この状況は、税負担の公平性や納得性の観点からも大きな課題である。
こうした課題を是正するためには、所得税の累進性を強化するとともに、現行では一律20%に抑えられている株式配当や譲渡益などの金融所得課税についても、引き上げや累進税率化を含めた見直しを検討する必要がある。資産性所得を含めた担税力に応じた負担を求めることは、所得再分配機能の回復・強化につながるものである。
さらに、将来的には、預貯金口座へのマイナンバー登録の進展を前提としつつ、金融所得を含めた総合課税化についても検討を進めることが求められる。所得の把握精度を高めることで、より公平で実効性のある税制の構築が可能となる。
あわせて、2025年分の所得から導入された「ミニマム税」については、その効果や影響を丁寧に検証しながら、必要に応じて制度の見直しや強化を検討していくことが重要である。こうした措置を組み合わせることで、税制全体としての公平性と所得再分配機能の向上をはかることが期待される。



