重点継続課題
労働・社会政策
教育の公平性確保と労働教育・主権者教育の強化
就学前教育から高等教育まで、すべての教育段階における教育費負担の軽減をはかるため、無償化の着実な推進と支援策の一層の拡充を行う。とりわけ、認可外保育施設を含めた保育・幼児教育の利用料については、完全無償化の実現を目指す。
あわせて、義務教育段階における保護者の経済的負担の軽減に取り組む。学校給食については、完全無償化を目指すとともに、給食業務の委託先事業者が過度な低コスト競争に陥ることのないよう、学校給食法の趣旨を踏まえ、人件費や原材料費を適切に反映した価格で契約が行われるルールを整備する。また、修学旅行費についても、公的な基準(行先や上限額)に基づき、無償化に取り組む。
高等教育段階においては、奨学金制度の抜本的な見直しを進める。現行の成績要件や所得要件のあり方を検証し、返済負担の軽減策を講じたうえで、無利子奨学金や給付型奨学金の拡充を段階的に進める。高等教育の無償化が実現するまでの間は、中間層、ひとり親家庭、多子世帯などを対象とした教育費支援の拡充をはかる。
さらに、ワークルール教育の義務化や主権者教育の充実に向けて、労働組合と教育機関との連携を強化し、労働や社会の仕組みを実践的に学ぶ機会を拡充する。
社会人・職業人として自立した人生設計ができる人材を育成するため、学校教育の段階からキャリア形成支援を充実させ、主体的に将来を考える力を育む教育を推進する。
我が国の教育制度は、依然として経済的格差が学習機会の格差につながるという構造的な課題を抱えている。とりわけ高等教育における家計負担は、OECD諸国と比較しても高い水準にあり、すべての人に等しく教育の機会が保障されているとは言い難い状況にある。中間層や多子世帯、ひとり親世帯などでは、教育費の負担が生活を圧迫し、子どもや若者の進学や進路選択に影響を及ぼしている。
こうした教育機会の格差は、将来に対する不安や、努力できなかった結果は個人の責任とする「自己責任論」を助長し、社会保障制度への信頼の低下や政治参加意識の希薄化につながるおそれがある。社会の持続性と民主主義の基盤を支える観点からも、義務教育段階から労働教育や主権者教育を充実させ、社会的自立と民主的市民性を育むことが不可欠である。
教育費の公的負担割合の引き上げや教育の無償化は、単なる家計支援にとどまらず、人的資本の形成を通じて持続可能な経済成長を支える戦略的投資として位置づけることができる。教育への投資は、将来の所得向上や社会保障負担の軽減にも資するものである。
教育は個人の選択や責任に委ねられるものではなく、社会全体の再生産と公共性を担う基盤である。経済的な制約に左右されることなく、あらゆる世代が「学び続けることができる社会」を実現するためには、無償化の推進とあわせて、安定的な財源確保を含む包括的な教育政策への転換が求められている。
また、社会人・職業人として自立した人生を歩むためには、キャリアは一時的に形成されるものではなく、子どもや若者の発達段階や、その時々の課題と深くかかわりながら段階的に育まれるものと捉える必要がある。キャリア教育の視点に立ち、義務教育から高等教育に至るまで体系的な教育内容の改善と充実をはかることが重要である。



