重点継続課題
産業政策
持続的な物流の実現
持続的な物流を実現させるため、以下の施策を講じて製・配・販全体での効率化を進める。
・物流を協調領域と捉え、フィジカルインターネットを駆使し、物資や倉庫、車両の空き情報等を見える化し、複数企業の物流資産(倉庫、トラック等)をシェアしたネットワークで輸送するという共同輸送配送システムの普及促進。また、その為のクレートやパレットの標準化の徹底
・検品レス・伝票レスなど業務効率化を実現させる情報システム分野における標準
化としての流通BMSの導入を全産業規模で加速させ、商流と物流のデータ連携をシームレス化する
・改正流通業務総合効率化法および貨物自動車運送業法に基づき、荷主企業における物流管理責任者の選任と、中長期計画の策定等が義務化されたことを受け、物流を経営戦略の中核に据え全社的な効率化体制の構築
・改正法に基づく荷主の義務を遂行し、荷待ち・荷役時間の「合計2時間以内」の達成および超過時間の解消を徹底。そのためにトラック予約受付システム等のデジタルツールを導入し、待機時間をリアルタイムで可視化・分析することで、荷役作業の効率化と車両回転数を最大化
・発注・納品のリードタイム延長に繋がる賞味期限における「3分の1ルール」の
見直しの促進。また、返品、多頻度小口配送などの過剰サービスの見直しによる運送の効率化を推進
・海上輸送のみならず、鉄道路線などを活用した長距離輸送網の整備などモーダルシフトの推進
・自動走行ロボット、ドローン、自動運転トラック等の社会実装を加速させるとともに、宅配ボックスの普及や置き配の標準化などラストワンマイルの自動化・省人化を推進
・都市部における物流専用車両の駐停車スペースの確保およびスマートパーキングシステム(駐車場の空き状況をリアルタイムで把握・予約・管理する仕組み)を活用した効率的な荷捌き環境の整備
道路貨物運送業においては、少子高齢化やドライバーの労働環境の悪化により2000年代以降、ドライバー数が急減している状況にあり、このまま対策を講じなければ、2030年には営業用トラックの輸送能力が約34%不足するとの深刻な試算もある(物流クライシス)。加えて、2024年4月から開始されたトラックドライバーの時間外労働の上限規制の適用(年960時間)により、事業者の長距離輸送から撤退など、コロナ前の2019年比で最大14.2%(4億トン)の輸送能力不足が起こると試算されている。
物流コストについては、2010年代後半にバブル期の水準を超え、2026年現在も過去最高水準を更新し続けている。この物流コストインフレの構造を放置した場合、2030年時点で、7.5~10.2兆円の経済損失が発生する可能性がある(経済産業省推計)。こうした状況を受け、2024年に成立した改正法(流通業務総合効率化法等)に基づき、特定荷主に対する「物流管理者(CLO)」の選任や中長期計画の提出が義務化されるなど、持続可能な物流の実現は、国・荷主・運送業者が一体となって取り組むべき喫緊の課題となっている。
ドライバーの時間外労働時間は減少傾向にあり、厚生労働省の統計(毎月勤労統計調査(道路貨物輸送業))によると、2024年通年の平均は月27時間台と、前年より1時間減少し、直近10年間で最も低い水準となった。一方で、懸念された輸送能力の減退については、2025年度も輸送量が前年を上回るペースで推移し、貨物営業用自動車の輸送量は2025年4~9月で10.7億トン(前年同期比2.0%増)、大手宅配3社の取り扱い個数も19.5億個(前年同期比1.5%増)と、物流効率化を進めながらも輸送規模を維持する状況が続いている。
今後の対策としては、次世代の物流システムであるフィジカルインターネット(インターネット通信の考え方を、物流(フィジカル)に適用した新しい物流の仕組み)の実現が不可欠である。フィジカルインターネットについては、経済産業省及び国土交通省の策定した「フィジカルインターネット・ロードマップ」に基づき、2026年度を目途とした商慣習改革やデータプラットフォームの整備が着実に進展している。物流は企業・業種の壁を越えた連携に加え、企業規模に左右されないオープンなネットワーク構築が重要であることから、今後の社会実装の進捗を適宜注視する必要がある。
フィジカルインターネットの実現に向けては、製・配・販横断の情報・データ共有が不可欠であり、生成AIによる高度な需要予測に基づき発注を行うなど、流通全体で安定した供給体制を実現する必要がある。加えて、情報システム分野の標準化としての流通BMS(消費財流通で唯一の標準となることを目標に設定しているメッセージと通信手順)の全産業への拡大や物流クレートやパレットの標準化も協調領域における生産性向上のために不可欠である。
荷待ち時間の問題については、改正物流総合効率化法(施行後は「物資流通効率化法」)が2025年度より順次施行され、2026年現在は特定荷主に対する「物流管理責任者(CLO)」の選任や中長期計画の作成、提起報告が義務化されている。荷待ち・荷役時間の発生は、ドライバー不足が深刻化している状況において効率性を阻害する大きな要因であり、ドライバーの長時間労働の原因にもなっている。同法では2028年度までに共同配送、帰り荷確保による積載効率向上やトラック予約システム(スマートパーキング等)の導入による荷待ち時間短縮を具体的に求めている。これにより、トラック運行全体の5割で荷待ち・荷役時間を計2時間以内に短縮、積載効率を50%へ向上させる等の目標達成に向けた各社の動きを厳格に注視していく必要がある。
さらには、短期間かつ多頻度小口納品が常態化している加工食品物流の課題は極めて深刻である。食品廃棄ロスの削減のみならず、物流のリードタイムの延長にもつながる「3分の1ルール」を見直し、「2分の1ルール」を採用するなど、商慣習の抜本的な見直しと業界ルールの統一が急務である。
国内貨物の輸送重量(重量ベース)では、自動車が約9割を占めている状況であり、自動車以外の手段の活用も重要な要素である中、全国に張り巡らされた鉄道網を活用するなどモーダルシフトの推進に向け国としての支援が必要である。
ドライバー不足の現状において、自動運転車やドローンを活用した無人配達の普及も重要である中、実用化に向けた支援や、活用事例・ノウハウの共有化に向けた国としての取り組み強化が求められる。
加えて、中小店舗や路面店における荷捌きスペースの不足は、ドライバーの駐車違反のリスクや業務遅延を招いている。自治体と連携した「スマート荷捌き駐車スペース」の整備や、配送車両に対する駐車禁止規制の柔軟な運用(例外設定)の検討など都市物流を支えるためのハード・ソフト両面での環境整備を加速させる必要がある。



