重点継続課題
地域政策
空き家対策の推進 ●県、市
市区町村は、空家等対策特別措置法に基づく法定協議会を設置し、空家等対策計画の作成や実施に取り組む。法定協議会の設置にあたっては、地域住民、不動産事業者、学識経験者、空き家活用の専門家など、多様な関係者が参画する体制を確立し、現場の課題を反映した政策形成を進める。
空家等対策計画策定・法定協議会設置市区町村においては、各地域の状況を勘案しながら適切な計画の策定および計画の実効性を確保するため、適宜、進捗管理と改善点の検討を行い、必要に応じて計画の見直しや法定協議会の機能強化を図る。
また、移住者や低所得者、高齢者、障がい者、子育て世帯、外国人、被災者などの住居用として空き家を有効活用していくために、空き家バンクの機能を強化し、マッチング支援や改修費補助などの制度を拡充する。さらに、自治体間の連携を進め、広域的な空き家活用を促進する。
2023年総務省の住宅・土地統計調査によると、空き家率(住宅総数に占める空き家の割合)は13.6%で過去最高となっている。また、空き家総数は1993年から2023年までの30年間で約2倍となる900万2千戸に増加しており、内訳は、① 賃貸用・売却用476.2万戸、② 別荘など二次的住宅38.4万戸、③ 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家(賃貸用の空き家、売却用の空き家及び二次的住宅以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など)386.6万戸である。総住宅数が総世帯数を上回ったのが1968年で、当時の空き家率は4%であった。その後、住宅の大量供給が続き、空き家率も上昇を続けている。2018年の数字と比較して、③は10.6%増えており、③への対応が特に求められる。空き家の増加は、安全性の低下、公衆衛生や治安の悪化、景観の阻害、不動産価格・ブランド価値等の低下を誘発する。特に安全性の低下について、一度火災が発生した場合には甚大な被害に繋がる恐れもある。地域においては、一層の人口減少につながり、結果として、空き家がさらに増加するという悪循環を生んでいる。
働く者の存立基盤である地域が疲弊する中において、活力ある地域社会の実現や生活者の暮らしの向上は喫緊の課題であり、2015年には空家等対策特別措置法が施行され、市区町村の取り組みに対する国の財政や税制上の支援が用意された。
市区町村は、空家等対策特別措置法に基づき、空家等対策計画の作成ならびに実施に関する法定協議会を設置することが可能となった。国土交通省の2025年度末時点での調査によれば、市区町村における空家等対策計画の策定状況は策定予定の市区町村も含めれば全市区町村の約95%(策定済み1,541市区町村、策定予定121市区町村)、法定協議会の設置状況は、設置予定の市区町村を含めれば約70%(設置済みは1,052市区町村、設置予定は159市区町村)となっており、各自治体において取り組みが一定程度進んでいる。
計画策定・法定協議会設置市区町村においては、各地域の状況を勘案しながら適切な計画を策定するとともに、建築士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会福祉士等、外部有識者等との連携が取れているか等確認し、必要であれば計画変更および構成委員の再構築を行う必要がある。地域の実情に即した実効性のある政策を進めるためには、不動産事業者や空き家活用の専門家の関与が重要であり、地方自治体の先進事例を参考にしながら、多様な人材を登用する仕組みを強化する必要がある。さらに、計画が形骸化しないように、KPI(重要業績指標)を設定し、定期的に点検・見直しを行うことが必要である。例えば、VRを活用した空き家マッチング、移住希望者への補助制度のような事例を参考に、効果的な施策の導入を促進することも必要である。
増加する空き家対策のため、空き家バンクを設置する自治体が増加し、2019年10月時点で全自治体のうち約7割の市町村が空き家バンクを設置している(国土交通省・2019年10月実施アンケート)。移住者や低所得者に加え、住宅セーフティネット法で定める高齢者、障がい者、子育て世帯、生活困窮者、外国人や被災者など住宅確保要配慮者向けに空き家の有効活用をさらに進めていく必要がある。2025年10月1日に改正住宅セーフティネット法が施行された。市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務化され、住まいに関する相談窓口から入居前・入居中・退居時の支援まで、住宅と福祉の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備がより推進されることになった。地域における空き家・空き室を活用し、住宅と福祉が一体となった居住環境の整備が望まれる。
2023年の第211回通常国会においては、空家対策特別措置法改正案が可決成立しており、法改正により、空き家に対する固定資産税課税強化(※)や自治体による特定空家除去の代執行の円滑化などが規定された。今や、空き家問題は全国に広がっており、各自治体は国をはじめとした関係諸機関と連携しながら対策を進めていくことが求められる。
※居住支援協議会
地方公共団体の住宅部局・福祉部局、居住支援法人、不動産関係団体、福祉関係団体等を構成員とした会議体
※倒壊リスクのある空き家に対しては、自治体が「特定空家」に指定することで固定資産税の減免特例から除外されていたが、法改正により放置することで「特定空家」に至るおそれのある物件についても、自治体が「管理不全空家」と指定すれば固定資産税の減免特例から徐外されることとなった。
※地方自治体の取り組み事例
・国土交通省・空き家対策に関する情報提供
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000042.html
・国土交通省関東地方整備局・関東ブロックにおける空き家対策の推進
https://www.ktr.mlit.go.jp/city_park/sumai/city_park_sumai00000050.html



