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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

物価上昇を1%程度上回る環境整備の推進

物価上昇を1%程度上回る賃上げがノルムとしてすべての職場で定着するように、中小受託取引適正化法の周知を強化し、官公需を含め労務費の適正な価格転嫁を促進する。

エネルギーコストの抑制策の強化に加え、賃上げ促進税制や助成金等の効果を検証し、企業の人材投資・リスキリング促進やデジタル化支援を通じた生産性向上に資する支援拡大などの環境整備を進める。

医療、介護、障害福祉、保育分野従事者の賃金が全産業平均に遜色ない水準となるよう、報酬改定を適宜実施するなど処遇改善措置の拡充を行う。

最低賃金に関して、2020年代に全国平均1,500円という政府目標の達成に向け、最低賃金の引き上げを進めるため、中小企業が対応できるよう時限的な対策を強化する。

また、特定最低賃金の設定を促進するため、設定に向けた申し出の際に提出する労働協約の金額が法定最低賃金を上回り、労働協約の適用労働者が新設で2分の1、改正で3分の1を超えている場合は、原則、新設や改正の必要性ありとし、金額審議に入る運用とする。

<背景説明>

2026年度以降も消費者物価は2%前後の上昇が見込まれており、実質賃金の回復・上昇を伴う持続的な賃上げの定着が社会全体の課題となっている。1990年代以降、日本企業は長らく人件費抑制を優先し、ベースアップを伴わない定昇中心の賃金体系が定着してきたが、近年の人手不足、インフレ、グローバル競争の激化により、構造的な賃上げが求められている。

特に中小企業は全就労者の約7割を抱えながら、価格転嫁力や生産性の面で大企業に劣る傾向があり、持続的な賃上げ実現には、公正な取引慣行の確立、価格交渉力の強化、生産性向上を通じた構造的支援が不可欠である。

2026年1月に施行された「中小受託取引適正化法」、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の改正は一定の前進であり、加えてリスキリング支援、再エネ導入補助などの複合的施策により、企業の賃上げ余力の底上げが求められる。

なお、賃上げ促進税制については、2026年度末を以って大企業向けの措置が本来の適用期限を待たずに早期に廃止されるなど大きな転換点を迎えたが、これまでの効果を検証した上で、引き続き企業が賃上げをしやすい支援をおこなうことが不可欠である。

一方、世界に目を向ければロシアによるウクライナ侵攻やアメリカ・イスラエルによるイランに対しての大規模な軍事作戦等が発生しており、近年の不安定な国際情勢に起因した既存のサプライチェーンの途絶によるエネルギー価格、原材料等の高騰は国内のあらゆる産業に影響を与えている。

特に原油価格、電気・ガス価格や原材料コストの高騰は中小企業のコスト構造を圧迫しており、政府による価格高騰対策(重点交付金・激変緩和措置)の継続と拡充、再生可能エネルギーの普及促進など、長期的なコスト構造の転換支援も必要である。今後のエネルギー価格が、企業の賃上げ原資確保への見通し等を阻害しないよう、エネルギー価格の変動を踏まえた政府支援のさらなる拡充など機動的な対策が必要である。

加えて、エネルギー価格の上昇による負担が特定の事業者に偏らないよう、適切な価格転嫁を一層促進しなくてはならない。